遺作にして小津美学の最高峰

娘を嫁に出すのは、父親からしたら「負け戦」なのかもしれないが、別に負け戦(日本敗戦)でも良かったじゃないか、というメッセージ。

小津監督が生涯独身を貫いた理由がここにあると思った。

小津さんの映画はシリアスなドラマでもないし、純粋なコメディでもないような気がする。

一言で表現するとしたら「キュートな(愛すべき)日常」と言いたいw

劇的な事も起きない、目線も合わせない、淡々とした ちぐはぐな会話…ドラマとしては一見物足りなさそうに見えるが、一番現実に近い状況をかなり計算して作り上げているのが「小津の世界観」だ。

ドラマでもドキュメンタリーでもない「小津的超現実」こそが今もって多くの映画ファンを引きつけているのだろう。

今観てもクラシックになっていないという事は、当時はかなり先を行ったモダンな 今でいう「トレンディードラマ」だったのかもしれないw

是非とも 岩下志麻と岸田今日子の可愛さに打ちのめされてほしい。必見。


★★★★★


(2013.11.13 加筆修正)