小津安二郎監督の『彼岸花』を観る(小津映画 初のカラー作品)。


電車で始まり電車で終わる…本当に一部の隙もない脚本に ただただ 脱帽。

生涯独身を貫いた小津が何でこんな味わい深い映画を作る事ができたのか、今も観ても にわかに信じがたい。

そして小津作品において抜群の安定感を見せる 佐分利信の徹底して抑制された演技と朴訥とした しゃべり口は圧巻。まさに「昭和のお父さん」そのものである(そして妻役の田中絹代の名演もキラリと光る)。

で、終盤の笠智衆の詩吟(『長屋紳士録』の『不如帰』に匹敵する名調子)と、「(結婚とは)黄金(きん)かと思ったら真鍮だった」という話から「(結婚とは)真鍮を黄金(きん)にするんだよ」と持論を展開させる 佐分利の名台詞で完全にノックアウト!!w

まさに映画としてパーフェクト

小津の最高傑作
と言って差し支えはないだろう。


それと有馬稲子山本富士子のハリウッド女優ばりの奇跡的な美しさに ただただ酔いしれるべし!!

個人的には、この頃の久我美子も好きだがw


で、本作の見どころ…というか、とにかく笑えるのが 出てくる度に「ここは平山家ですよ!!」と、毎回しつこく主張してくる 真っ赤なやかん(しかも引き戸の前とか変なところに床置きで不自然にあったりするw)。

でも見終わった後に あの真っ赤なやかんこそが「彼岸花」であると気づかされた!!w


いつも似たような配役(北竜二や中村伸郎などの おっさんレギュラーメンバーw)に、毎回同じような馴染みの店と ローアングル、そしてそこから生じる既視感(映画としての記号性)…小津映画は観れば観る程、その深みにハマっていく。だからやめられないのだ。

もしかして時を超えて、小津さんの「トリック」に まんまとハメられているのかしら?w


★★★★★


(2013.11.14 加筆修正)