戦後の小津作品の中でも明らかに異質なコメディ作品。

しかし子供目線でオトナ社会を痛烈に批判しつつも、これからの家族の在り方を描いているという点では、従来の小津のラインから逸脱はしていない。

テレビを買ってくれるまでは一切しゃべらないという子供たちのボイコット事件が、婦人会費行方不明事件とリンクして 向こう三軒両隣のご近所で更なる疑惑を生む。

まさに『お早よう』で描かれているのは

「コミュニケーションの不通」(と、そこから生ずる歪み)

という問題だ。

それは同時に のちの日本の家庭や地域コミュニティーの崩壊・断絶を予感させるものになっている。

そういえばスタンリー・キューブリックの映画は みんなこんな感じの「コミュニケーション不通映画」だ。『2001年宇宙の旅』や『博士の異常な愛情』や『シャイニング』もしかり。

小津は5年10年…いや、1年2年先の「(お茶の間の中の)SF作品」を作っていたのかもしれないなw 


戦前に小津は このような子供を主人公にしたサイレント・コメディを量産していたわけだが、『彼岸花』に続けて作られた2作目のカラー映画という事で「せっかく色がついたんだから、原点に返ってちょっと明るい話(コメディ)でもやってみようかねぇ?」となったのだろうか?w

竹中直人監督の『無能の人』や ジム・ジャームッシュ、アキ・カウリスマキのようなオフビートな笑いを含んだ作品なんかにも多大な影響を与えているといった意味でも必見の1本。


で、前作の『彼岸花』に出てきた真っ赤なケトルに続き、本作で存在感を示しているのが「真っ赤なフラフープ」だ(またしても赤w)。

ま、ラストは まぁるく収めましょ…ってな事なんですかねぇ?w


★★★★☆


(2014.2.12 一部改稿)