小津監督が大映で撮った珍しい一本。

本作を高評価している人も多いようだが、どうも松竹の作風に見慣れてしまっている所為か、オイラは この浪花節なストーリーに いまいち馴染めないでいるw

出演者も当然の事ながら大映の役者さんばかりなので、なんか違和感もあるし。

あとウインダム(ウルトラセブン)に怪光線を放ったのによく似た灯台が印象的に何度も捨てカットで出てくるのがおかしいw

小津さんってよくやるんだよね、こういう事を(『風の中の牝雞』のガスタンクとかw)。おそらく それによって場所(シーン)とか建物の位置関係なんかを見せたいんだろうけど、オイラから言わせたら ちょっとクドイ。ま、口で説明するよりはマシだけどw

しかしラストはいいね。京マチ子が中村鴈治郎の火の点いた煙草を手に取って自分の煙草に火を点けるシーンがグッとくる。あれはキスシーンのメタファーだよ、きっと。

これはオイラの想像だが、小津作品において ああいうシーンはおそらく全て脚本として明文化されているものと思われる。そこら辺も実に確信犯的な小津・野田脚本。後の『小早川家の秋』にも通ずるものもあるが(こちらは東宝作品)、何かいつもの松竹のテンポ感とはまた異なる作品をあえてアウェイでぶつけている感じがしますね。

で、大映作品なのでキャメラマンはもちろん東洋のグレッグ・トーランド、宮川一夫

小津さんは ほとんど自分の指示通りに撮らせたという事らしいが、よく観ると「あ、ここは宮川一夫が押して小津さんが譲歩したカットなんじゃないか?」と思えるショットもいくつかあるので、それを楽しみながら観るのも一考かとw

それと小津作品でありながらも鴈治郎さんや京マチコなんかがエモーショナルな演技をガンガンやっているんで、いつもは浮きまくっている杉村春子がちょうどいい感じになっている(むしろ抑制した演技に見える)のがなんとも皮肉っぽい(笑)。杉村春子の関西弁、上手いねw


★★★☆☆


(2014.2.12 一部改稿)