また小津さんの悪いクセが出た!!

『浮草』の灯台と一緒で、延々と建設中のガスタンクばっか 捨てカットで使ってるw よっぽど気にいったのかなぁ?w

前作の『長屋紳士録』は戦争孤児の話だったが、本作は終戦直後 夫の復員を待つ妻の悲哀と苦悩を描いた かなり暗めの作品

田中絹代が見る者の期待を裏切らない好演をしている(杉村春子のように嫌味はないw)。しかし救いようがないほど暗い話なのだ(苦笑)。内容が内容だけに悲壮感もたっぷり、階段落ちのシーンは かなりショッキングだった。

脚本を担当した斎藤良輔、そしてこの後に小津とタッグを最後まで組む事となる脚本家の野田高梧などは本作に対して批判的で、小津自身も「失敗作」と認めているらしいが、オイラは別にそうは感じなかった。

例えば こういった話は 世相や時代背景は違っても「自分の彼女が かつて(もしくは今)風俗嬢だったらどうするか?」とか、現代でも置き換えられるわけでしょ?

不景気も続き、あのような大きな震災があって混乱がなおも続く昨今の日本と、こうした終戦直後の問題が重なって見えたのは オイラだけだろうか。

小津さんは自分も復員してきた身だけに『長屋紳士録』でもそうだったが、こうした戦後の現実もちゃんと描いておいた方がいいんではないかと判断したのだと思うのだが。

しかし 次作の『晩春』からは野田高梧と二人で、世相に流される事のないエバーグリーンな作品づくりに没頭していく。

つまり皆がイメージする「(戦後の)小津安二郎監督作品」へのターニングポイントとなった作品とも言えるのではなかろうか。

そういった意味でも貴重な一本だし、見て損はないと思う。『長屋紳士録』と同様、シンプルなラストシーンも個人的には好きだ。ただ暗いのだ…w


★★★☆☆


(2016.12.9 一部改稿)