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昨日『映画 けいおん!』湘南地区(茅ヶ崎)での最後の上映を観てきました(2度目)。


まぁ1度観てストーリーは分かっているので、2度目の鑑賞となる今回は なるべく映像に集中して観てみました。

そしたら、いろいろな発見が…。

今後 リリースされるであろう DVD等で観る際の参考にして頂ければ幸い(ちょいネタバレ注意w)。


【その1】 映画的なカメラワーク

オープニングの部室でのシーンをよく見ていたら、画面がホント気づかないぐらいの程度でブレているカットがいくつかあった。

それはつまり実写でいうところの「手持ち撮影」を意識しているわけだが(おそらくHTTメンバーのうちの誰かの主観の映像)、人間が手が描いて作っているアニメにおいては 作り手が意識的にやらなくてはできない効果である。

つまりこうした「カメラワーク」を意識して作る事によって、より映画的な効果を得ているというわけなのです。

「『(映画) けいおん!』ってテレビの延長線上のもんでしょ?」と言われてしまえば それまでなのですが(笑)、それでも作っている側(スタッフ)からすれば、少しでも『けいおん!』が映画として成立してくれればという思いで作っている事がこういった演出からわかるのですよw


【その2】 ファンへの贈り物

ラブ・クライシスのマキちゃん(第1期)や、パスポートをみんなで取りに行くくだり(第2期)は 地上波放送ではオンエアされていない、DVD or ブルーレイで初めて公開された「番外編」のエピソードである。

つまりテレビ放送だけを見ていただけでは分からないエピソード(伏線)もかなり平然と本編(映画)内に盛り込まれている。

ある意味 不親切と言えば不親切なのだが(笑)、それは裏を返せば 全エピソードを見て網羅してくれた熱心なファンたちへスタッフからの贈り物(ファンサービス)であると言えないだろうか。

律ちゃんの弟や、オカルト研のコンビ、そしてモブキャラである他のクラスメイトまで、ほぼ全キャラをなんらかの形で再出演させているのは、これはファンサービスというよりも 山田尚子監督がホントに全てのキャラに愛情を注いでいた事の証だ。 

ま、平沢家のパパ・ママが本編でアニメとして初登場したのは ある意味、ファンサービスなんでしょうけどw


【その3】 1度観ただけではわかりづらいメッセージ

ファンの間では話題になっていたシーンを再確認してきた。

それは卒業前に教室で敢行した早朝ゲリラライブでの一幕。

『U&I』のギターソロパートで、唯があずにゃんと向かい合って演奏しようとすると、あずにゃんがコーラスパートではなく 唯と同じメインパートを弾き出して 唯がビックリし、あずにゃんが微笑むという件。

演奏中での出来事で、もちろんセリフ等の説明はなく 映像と音だけで表現しているので気にして見ないと かなりわかりづらいシーンではあるのだが、再確認したところ 確かにあずにゃんが「唯先輩、実は私もこのメインパートは弾けるから、卒業しても そのパートは軽音部で私が引き継ぎますね」という「言葉にできないメッセージ」を送っているように見えなくもないw

その後、唯はステージ(机)からダイブするわ、ムギちゃんはピョンピョン飛び跳ねながら演奏と大はしゃぎ!!w

演る側も見る側(劇場の観客も含む)のボルテージも最高潮に達するわけだが、それこそが彼女たちにとっての「武道館」だったというわけだ。


【その4】 ガーリィ・ムービーとしての『けいおん!』

この『映画 けいおん!』を観た時に思った事で、意外とみんなが指摘していない事があったので この場を借りて言っておきたい。二代目淀長(襲名予定)としてはw

それは 『けいおん!』という作品が ガーリィ・ムービーというカテゴリーであまり語られていないという現実だ。

テレビ版では ほのかに匂わせる程度であった 唯あずの「がちにゃん」的展開も、本編の方では「あずにゃん LOVE」という形で露骨に表現されているw

テレビ版では結構存在感のあった澪の見せ場は本作ではほとんどなく、ただ単に回転恐怖症の少女みたいな希薄な扱いになってしまった(苦笑)。あ、そういえば澪のガチネタといえば「曽我部先輩と秋山澪ファンクラブ」だよなw

それぐらい山田監督の中で『けいおん!』と言えば、平沢唯と中野梓の物語だったんだなーと実感(これを観た後に第2期の#9『期末試験!』の回等を見直すと なるほどと思うw)。

そして ラストのPV(『Singing!』)では、まるで寄宿舎の女子校生のような制服を着たHTTの5人が手と手をリボンで強く結ばれて繋がっているというビジュアル・イメージまで具体的に見せている。

それはまるで『ヴァージン・スーサイズ』 や『ピクニック at ハンギング・ロック』、そして『エコール』等のガーリィ・ムービーを彷彿させるようなシーンである。

「東洋のソフィア・コッポラ」山田尚子監督が見せてくれる次なるガーリィな世界観に期待せよ!!w

この女性ならではの繊細な感覚だけは、宮崎も富野も押井も庵野も絶対真似ができない唯一無二のものなのだからw