前回のレビューに引き続き、三谷幸喜監督作品 第4作目。

先日 当ブログで『THE 有頂天ホテル』をケチョンケチョンに けなしてしまったが(苦笑)、今回の『ザ・マジックアワー』は結構それなりに楽しめたw

まずポイントは、この『ザ・マジックアワー』は「映画の中の映画」という設定で描かれている点だ。いや、厳密に言うと 劇中の映画の撮影は「映画ではない」ので、本当は「映画の中の映画」ではないのだが(笑)、その設定が映画としてファンタジカルな機能をしている。

本作は まったくもって荒唐無稽な話なのだが、本編内で登場人物に「まるで映画の世界」とか「(街並みが)でっかいセットに見えません?」とか「純然たるコメディ」などと潔く言わせてしまっている事で、本作を映画として成立させているのだ。これまでの三谷作品は日常から微妙にずれたパラレルワールドをコメディとして描いてきたのだが、本作は完全にありえないフィクションとして描かれている。それはもうSFに近い世界と言ってもいいだろう。でも その「(映画なんだから)ファンタジーでいいんだ」という吹っ切れた感じが 今回は良い方向に向いていると感じた。

そして その壮大なフィクションの舞台として種田陽平がデザインした巨大なセットが巧く機能していた事もここに記しておこう。

映画が映画について言及する映画は数多あるが、これまでに3作映画を作ってきた三谷監督からすれば こうした題材の映画を撮る事は必然だったと思われる(三谷は舞台でも『ショー・マスト・ゴー・オン』という「舞台の中の舞台(裏)」を描いた作品を過去に書いている)。

しかし『THE 有頂天ホテル』もそうだったが、三谷幸喜の「(人は)~であるべき」「~でなくてはならない」的な「説教癖」は相変わらずだったな(苦笑)。そこがどうも くどくて三谷作品で好きになれない点だw

ラストシーンは洒落ていて面白かったが、最後の深津絵里の展開は オイラ的には どうもいただけなかった。

でも きっとあれが三谷幸喜の女性観なんだよな。あんなんだから小林聡美に捨てられちゃうんだよ!!(苦笑)


ちなみに劇中でも ご丁寧な説明があったが、そもそも「マジックアワー」というのは 前回お話しした「グランド・ホテル形式」と同様、映画の撮影現場での業界用語である。

日没後 数十分だけ見られる薄明の時間帯をマジックアワーと呼ぶのだが、ほぼ全編に渡りそのマジックアワーの短い時間帯だけに撮影された とんでもなく美しい映画がある。それがテレンス・マリック監督の『天国の日々』だ。


★★★☆☆