お待たせしました!!

去年から展開しておりました「スティーヴン・スピルバーグ監督作品全31作品を観る」というプロジェクト、長らくお休みしていましたが、2014年になりまして いよいよ再開です。

で、今回ご紹介するのは 全世界で大ヒットを記録したスピルバーグの出世作『ジョーズ』('75年)です。


まぁひとことで言ってしまえば「白昼のホラー映画」であるw

この映画の40%くらいは、あの有名なジョン・ウィリアムズのテーマ曲によって構成されていると言っても過言ではない程 その功績は大きく、効果的な役割を果たしている。



映画としてはヒッチコックの『鳥』のサメバージョンなんだけど、音楽は『サイコ』(バーナード・ハーマン)みたいな、そんな感じw

しかし もう既に35年以上の時を経ているというのに、今観ても『ジョーズ』は なかなかよくできている。このオーバークオリティこそが 後の「スピルバーグ伝説」の始まりとも言えよう。

やはりビル・バトラーによる移動撮影や海上での手持ち撮影、逆光を利用した撮影等の素晴らしさも大きく貢献していると思うのだが、その後のスピルバーグ作品に共通して見られる「時代を超越した映像」は この頃に既に確立されたのだと思う。

『未知との遭遇』にせよ『E.T.』にせよ、その当時の現代劇であるのに 今観ても その時代の古くささを感じさせないのは、ある種の通俗性というか世代を超えたノーマン・ロックウェルの絵にも通ずる古き良きアメリカの原風景のようなものがスピルバーグの映像にはあるのだと思う。


で、後のスピルバーグ作品によく出てくるパターンなのだが、もうひとつの本作の見どころは

結構容赦ない残酷描写

であるw

前半はビーチを一瞬のうちにして惨劇の舞台へと変える「見えない(見せない)演出」でサメの恐ろしさを増幅させ、途中でその恐怖を可視化した形で見せるのが犠牲者の肢体である。

始めはサメの学術書に掲載されているサメに食いちぎられた肢体を写真で見せておいて、その後 海洋学者(リチャード・ドレイファス)がプロファイリングするシーンで 最初の犠牲者の腕を見せ、それから海中に沈んだ水死体をホラー映画の手法でバッと見せ、ラストの漁師(ロバート・ショウ)の下半身がガバッと飲み込まれてしまう衝撃のシーンに繋がっていく。

まぁはっきり言ってしまうと悪趣味なのだが(苦笑)、スピルバーグはこういった手法を後の作品でも かなり多用している。

おそらくスピルバーグ本人はそういったホラー映画(的手法)が大好きなのだろうが、この『ジョーズ』以降 ファミリー向けの超娯楽ヒット大作を量産している彼にとってホラー映画を撮るという事は自らのキャリアを傷つけかねない。なので自作の中で こうしてホラー的な要素をしれっと盛り込むのであるw

代表的なのは『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の顔が溶けるシーンとか、『プライベート・ライアン』や『ミュンヘン』でご披露した容赦ない人体破壊描写、それと監督作品ではないが製作を手掛けた『ポルターガイスト』(トビー・フーパー監督)でもやはり顔の皮や肉がドロドロと崩れ落ちる えげつないシーンを挿入している(ちなみにその役を特殊メイクで演じたのはスピルバーグ自身だ)。


個人的に好きなシーンは 警察署長(ロイ・シャイダー)が家で頭を抱えて沈痛な面持ちでいると、子供がそれをジェスチャーで真似て心が和むという、後のスピルバーグ作品で一貫して描かれる「家族のいる風景」の原点とも言える名シーンだ。


そういえば先日劇場で『ゼロ・グラビティ』を観たのだけれども、あれこそが現代の『ジョーズ』だよな!!w

共に海・宇宙という未知の驚異を描き、そして身近に潜むサスペンス・ホラーの要素という点においても。

こいつも3Dだったら もっと面白かったな!!…と言おうとして よくよく思い返したら、『ジョーズ3』(スピルバーグは製作にはノータッチ)は当時3D映画だった事を思い出したwwww


★★★★☆