ジョージ・ルーカスと話し合い、007シリーズのような世界を股に掛けるアクション映画と、ダグラス・フェアバンクス等に代表されるハリウッドサイレント映画時代の連続冒険活劇をモチーフとした作品をスティーヴン・スピルバーグは作り上げた。それがインディ・ジョーンズシリーズの記念すべき第1作目となる『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』だ('81年)。ちなみにスピルバーグが監督作品で続編を作っているのは意外と少なく、このインディ・ジョーンズシリーズ(計4作)とジュラシック・パークシリーズ(監督作は2作目まで)だけである。

もう何度も観ている大好きな作品なのだが、このスピルバーグ監督作品全31作を全て観るという企画で『激突!』なんかから順を追って ずーっと見続けていて初めて気がついた事があった!! それは…

『レイダース~』よりも初期の作品の方がスピルバーグらしくて面白かった

なとw

いや、これはこれでいいんですけど、こうして通して観ると やはり『レイダース~』は

ルーカス色が濃かったんだなぁ

とw

まぁハリウッドではプロデューサーの権限の方が強いですからねぇ。それとルーカスが所有する工房・ILM(Industrial Light & Magic)によるSFXの色も濃いせいか、何かそれまでのスピルバーグらしさが損なわれているような印象を受けた。

でもこれはきっと、モンキー・パンチの原作から『ルパン三世』を熱心に見ていたファンが、同じルパンでも『ルパン三世 カリオストロの城』を観て何か違和感を感じたりするのと同じ現象なんだろうなw

『レイダース~』から見始めた人からしたら、「ああ、こんなもんでしょ? スピルバーグって。音楽もジョン・ウィリアムズだし…」と思うのかもしれないが、あらためてスピルバーグ作品を順を追って見てきたオイラからすると 大きな違和感を感じざるを得なかった。良い意味でも、悪い意味でもw しかし人にとっては「宮崎ルパン」がその人にとってのルパン三世だったりするわけですしね。

撮影監督が ダグラス・スローカムに替わったというのも違和感の大きな理由なのかもしれない。ちなみにスローカムはその後、インディシリーズの3作目まで続けて撮影監督を務める事となる。まぁシリーズの映像に整合性を持たせるためというのもあるかと思うが。

とはいえ、オープニングからいきなり逆光とか、いつものトラックアップによる人物寄りとか、悪趣味なホラー映像(人間串刺しやヘビの大群、そしてクライマックスの顔面溶解破壊シーンetc.)、兵器マニアっぷり(スピルバーグはユダヤ人で この『レイダース~』でもナチスを仮想敵として揶揄しているわけだが、それでもドイツ軍の兵器が大好きでたまらないという、宮崎駿ばりの厄介っぷりw)など、スピルバーグを構成する要素はバッチリ盛り込まれている。


あと今回伝えておきたいのが、スピルバーグといえば今となっては「早撮りのスピルバーグ」として有名だが、 この『レイダース~』が そのきっかけとなった作品と言えるであろう。

それには前作『1941』の興行的失敗という教訓もあったと思われる。予算や日程をオーバーする事なく、作品の規模の割りには比較的低予算で済んだ『レイダース~』は全世界で大ヒットとなり、莫大な利益をもたらした。でもこれにはプロデューサーであるジョージ・ルーカスから「お前、予算をオーバーしようもんなら、監督は俺が代わりにやるからな」とハッパを掛けられていたという説も…w


そして『レイダース~』が後の作品に与えた影響も甚大だった。当時『Dr.スランプ』で鳥山明がパクリまくっていたもんね~w

その中でも特に有名なのがラストシーンのアークが納められた巨大倉庫のシーン。あのインパクトのあるシーンはいろんなところでパクられ波及していったが、実はあれにも元ネタがあるのをご存知だろうか。

それはオーソン・ウェルズの『市民ケーン』である。未見の方は是非とも一度ご覧あれ。


『レイダース~』を筆頭に、スピルバーグは80年代の映画界を席巻し、映画を再び一大娯楽として復興させる事に成功する。そして今まで『スターウォーズ』の準主役というだけで一部の映画ファンしか知らなかった主役のハリソン・フォード、そしてあの有名なテーマ曲(マーチ)によって作曲のジョン・ウィリアムズをもスターダムにのし上げた。これはまさしく「スピルバーグ・レジェンド」の始まりなのである。


★★★★☆