久しぶりに岡本喜八監督作品を観た!!

しかもかなり初期の作品を。同名の作品があるが(ハワード・ホークス監督作品)、こっちは もちろん日本の作品であるw リメイクではない。

これは『仁義なき戦い』みたいな いわゆる泥臭いヤクザ映画ではないよね。まさしく和製フィルム・ノワールでしたわ!! ものすげーモダンにソフィストケイトされたインテリヤクザw

それもそのはず、出ているのはB級の役者さんではなくて

鶴田浩二宝田明、そして三船敏郎

と、当時の東宝の三大スタアですもの!!

それと佐藤允、平田昭彦、天本英世、堺左千夫、沢村いき雄 等、おなじみの喜八ファミリーも健在で、観ていて安定の一本であるw

そして本作では味のあるバイプレイヤーであった佐藤允が、のちに『独立愚連隊』では主役となり、本作の主演であった鶴田浩二と三船敏郎が脇にまわるという、美しい映画の円環が見られる。これは岡本監督の人徳であろう。


最後に本作を見ていて気がついた事をいくつか。

驚いたのは この『暗黒街の顔役』が公開されたのが1959年。ギャングものではあるのだが、アクションシーンのテイストはオサレで 今見ると 007シリーズに似た雰囲気もあるのだが、1作目『007 ドクター・ノウ』が公開されたのは62年である。

それとジャズ喫茶でシンガーをしていた宝田明がステージで唄うシーンでは、若いグルーピーな女の子たちからワーキャー言われるシーンなんかもあるのだが、ビートルズが日本で大ブレイクするのは64年頃であるから、岡本喜八が描こうとしていた和製フィルム・ノワールの世界が当時の日本からしたら如何にバタ臭く、かなり先見性があったかがよくわかる1本でもある。拳銃とか普通にバンバン撃ってるしね、日本なのにw

あと去年からずーっとスピルバーグ監督作品を見続けているから気がついたのかもしれないが、よくよく見ていたら岡本喜八もスピルバーグに負けないぐらいトラック・アップ(ズームレンズで寄るのではなく、ドリー等の移動撮影でカメラそのものを被写体に近づけて寄る撮影法)を多用していた。

調べたら この作品は のちに『暗黒街~』シリーズとして 数本作られているようなので、機会があれば他の作品も観てみたいですね。


★★★☆☆