ごめんなさい、前回のスピルバーグ監督作品レビューから半年以上が経過してしまいました(苦笑)。

前回の『フック』から2年後の作品…今回ご紹介するのはスティーヴン・スピルバーグ監督作品史上最大のヒット作『ジュラシック・パーク』です。

トラックや鮫などが襲い掛かる恐怖映画を撮り続けてきたスピルバーグが 3DCG黎明期に放った新たなる恐怖…それは恐竜!!

『未知との遭遇』『E.T.』では地球外の生命体をSFとして創造してきましたが、今度は誰も見た事がない太古の時代の恐竜を甦らせて見せるという、これまた如何にも映画らしいお話。

パークに招待された古生物学者や数学者・弁護士やハモンドの孫たちが目をまん丸にして本物の恐竜に驚いているのと同様に、観客たちもまた スクリーンを前にして目の前で起こっている事象をまるで本当の事のように受け止め驚嘆する…つまりこれは映画による追体験であり、前述の「如何にも映画らしい」というのは そういったところにも起因している。

それはまるでディズニーランドのような「夢の国」の話なのだが、まさしくスピルバーグが描こうとしたのは俺的(恐竜版)ディズニーランド」であり、ジュラシック・パークを実現させようとした大富豪ハモンドは ウォルト・ディズニーそのものであり(パークの説明VTRのシーン等は まさにディズニーランドのそれだ)、そしてこんな映画を作ってしまうスピルバーグ自身がウォルト・ディズニーの再来なのである。ちなみにみなさんご存知の通り、このジュラシック・パークは本当にUSJに出来てしまったわけですが(もちろん本物の恐竜ではありませんがw)。


で、今回は作品の時間配分を分析するためにストップウォッチ片手に観てみました(そういえばトラック野郎シリーズの時もやったなぁ。いつトルコ風呂が出てくるかを計測するためにwwww)

最初に恐竜が全身を見せるシーンが長すぎず短すぎずの映画が始まってから約20分、そしてTレックスが姿を現わすシーンが約2時間の上映時間のちょうど ど真ん中…ほぼ折り返し地点だった。これで本作が なんとも絶妙な時間配分で構成されており、ものすごく緻密に練られた脚本であるという事がよく分かった。それと2時間強という尺も長く感じさせていないのは、スピルバーグの右腕である編集のマイケル・カーンの功績も大きいかと。

あと映画が始まってすぐに ケージに入れられた恐竜をパークに放すシーンがあるのだが、そこではあえて恐竜の姿を見せていない。それとTレックスが姿を見せる直前にインサートされた「コップ(あるいは足跡による水たまり)の水の波紋」で不気味な恐竜の存在を表現するといったようなこれらの手法は激突!』『ジョーズ』でもおなじみ、スピルバーグお約束の「見せない演出」であり、Tレックスが現れるシーンでは夜の闇と雨とで その姿がはっきりと見えない事で さらなる恐怖感を煽っている(まぁアニマトロニクスとまだまだ発展途上にあったCGのアラを目立たなくさせるためという事もあったとは思うがw)。

そういったB級(ホラー)映画の手法を多分に用いてA級の映画を作るという手法が如何にもスピルバーグらしくもあり、この『ジュラシック・パーク』は まさにその集大成と言えよう。それと本作では特にえげつない「人が食われるシーン」が要所要所に出てくるw まさにスピルバーグの「悪趣味趣味」全開なのであるw

それといつものホラー要素というだけではなく、特に中盤のTレックスのシーンで顕著なのだが、例のギリギリまで「見せない演出」や恐竜の咆哮、そして科学の力によって甦らせられた存在というようなモチーフが まさしく我が国日本が誇る怪獣映画『ゴジラ』(特に第1作目)へのオマージュである事が容易に見て取れるところも本作の重要なポイントだ。

だからこれを スピルバーグ版『ゴジラ』という見方で観てもいいと思うんですよね、オイラ的にはw


あと特筆すべきは その3DCGのクオリティの高さである。’93年に作られたCGで今見直しても あまり違和感がないという事は もう奇跡に近い。それはそれだけジョージ・ルーカスのSFX工房・ILMのCG技術が当時世界最高レベルだったという事なわけだが、よく考えてみてほしい。

例えば レイ・ハリーハウゼンのストップモーション・アニメは もう半世紀前のシロモノであり、その技術はものすごく高いが今見ると「(視覚効果としては)やっぱりショボいな」となってしまう。





しかし 『ジュラシック・パーク』も 何気にもう20年以上経過しているのだ。20年前のCGだったら今見て見劣りすると思われても仕方がないと思うが、本作はレイ・ハリーハウゼンのようにクラシックになっていない。それと日本では公開されていないが、去年アメリカでは当時の映像をそのまま使った3Dバージョンも作られた。そしてこの『ジュラシック・パーク』での成功が、後の『スターウォーズ』新三部作の製作に繋がっていったのは言うまでもない。それはまさに3DCGがようやく映画の世界で使い物になった瞬間だったのである。


スピルバーグはこれで おそらく『E.T.』以来といえる自身の代表作と呼べる作品づくりに成功し、興行成績的にもCGを本格的に導入し成功を収めた作品としても金字塔を打ち立てる事ができ、『ジュラシック・パーク』はマスターピースとなり3DCG映画の試金石にもなった。そして『カラーパープル』とか太陽の帝国』のような山田洋次における『学校』みたいな映画ばかり作っていたスピルバーグがまた「いつもの(娯楽でヲタクな)スピルバーグ」になって戻ってきたのである!!w

だが、この同じ年になんと『シンドラーのリスト』も公開してしまうという…でもまぁこれもまた「(早撮りの)スピルバーグ・クオリティ」なのであるw

そういえば、ハモンド役のリチャード・アッテンボローが先日亡くなった。これまた最近見返してレビューも書いた『大脱走』にも出てたよね。まぁオイラの世代では俳優というよりは映画監督(『ガンジー』でアカデミー賞を受賞)の印象が強かったけど。合掌…。


★★★★☆