ブルース・リーのサクセスストーリーと献身的な妻リンダとの愛の日々を描いた伝記映画。

香港映画ではないのだが、思わず観てしまったw

だが、こんな事を言っては失礼かもしれないが…意外な良作だった。

まず如何にアメリカにおいて当時アジア人の地位が低かったかというところをきっちりとアメリカ視点で描いている。

劇中では黄色人種と付き合っている娘に対してブルースと別れるよう促すリンダの母や、映画『ティファニーで朝食を』を引用し 観客から嘲笑されるミッキー・ルーニー(白人でありながらステレオタイプな日本人を演じた)を見せる事でそれを表現している。

で、その上で 在米中国人の閉鎖的・排他的な視点(白人も黒人も受け入れるブルース・リーの道場への反発)も描かれており、両方の立場から丁寧に作られた印象を受けた。


それと驚いたのはブルース・リーを演じたジェイソン・スコット・リーだ。

お世辞にもブルース・リーとは似ても似つかない顔立ちなのだが、いざ格闘シーンになると その形相や彼の癖、そして自らの哲学を語る際の口調など特徴を実によく捉えており、それに加えてジェイソン・スコット・リーのビルドアップされた肉体になによりも説得力を感じた。

まぁ西洋人から見たら東洋人の顔なんてみんな一緒…というのを逆手に取ったキャスティングなのかもしれないが、一見似ていない人が見慣れていって違和感がなくなっていくというは、これぞまさに「映画のマジック」なのである。

ちなみにジェイソン・スコット・リーは現在も役者として活動しているが、この映画の撮影以後もジークンドーを続けているという。今でもブルース・リーの精神・哲学を受け継いでいるという、実にいい話だ。


それと終始何度もインサートされる まるで鎧兜をつけた武者のような悪霊がブルース・リーに襲い掛かってくるシーン(悪夢のイメージ)は非常に印象的なのだが、その刃はラストの方で幼少期の息子ブランドンにも向けられる。そしてそのブランドン・リー本人はこの映画の公開直前に撮影中の事故で亡くなってしまった。もちろん映画はブランドンの死以前に作られたであろうから、まるで予知夢のようなシーンになってしまった。

ちょっとこの作品に関しては、ブルース・リーの死後に作られたそれこそ星の数ほどある他のいわゆる「偽ブルース・リー映画」とは毛色が異なり なかなか面白いので、興味のある方、もしくはブルース・リーの映画を一度でも見た事がある人には騙されたと思って是非とも観てもらいたい一本だ。


★★★★☆