前作『スネーキーモンキー 蛇拳』の続編的位置づけの作品(スタッフ・キャストがほとんど同じ。内容は無関係)。ジャッキーの出世作であり、後のハリウッド進出や香港での大作出演に繋がった記念碑的作品とも言えよう。

ヤング・ジャッキーのキレッキレのカンフー・アクションが堪能でき、おなじみ師匠のソカシ(ユエン・シャオティエン)や、次長課長・河本のお家芸「タンメン」も見られて満足の一本だw

しかし食い逃げしようとして逆ギレして食堂の連中をフルボッコという理不尽さはどうかと思うw この「何でも暴力で解決」的姿勢は決して肯定できるものではないが、でもこうした無茶苦茶でカオスな世界観が当時の香港カンフー映画の魅力にもなっている事は確かだ。今となってはアル中で手が震えちゃってるソカシの姿なんかも見ようによっちゃあアブナイよなw

劇中ライバルに こてんぱんに叩きのめされ、着ていた服も燃やされてしまい、パンツ一丁で泣きながら走り逃げるジャッキーが描かれているが、その無様な姿はブルース・リーとは対照的である。

だが こうした屈辱を経て立ち直っていくジャッキーの姿は ブルース・リーの肉体的カタルシスとはまた別の魅力に溢れている。

この頃のジャッキー作品は 典型的なシンデレラボーイ・ストーリーであり、作中で描かれているある意味SM的というか中世の拷問のような苦行に耐えるジャッキーの姿に観客は感情移入し、そこに努力型の天才的要素を見い出していたのではなかろうか。

とはいえ ブルース・リーとは異なり、コメディ的要素を多分に取り入れる事で物語を深刻なものにする事なくエンターテインメントとしてうまく昇華しているし、この芸風はのちのジャッキー作品に通底するものとなっていくというわけだ。

で、この『酔拳』をきっかけにジャッキーはスターダムへとのし上がっていくわけだが、その後のジャッキー・チェンはブルース・リーのようなカンフー・マスターというよりは、バスター・キートンやハロルド・ロイドのような「コメディもできるスタントマン」に転身してしまう。

まさか この時ソカシからみっちりと仕込まれた「受け身の修行」がこんなところで役に立つとは…w


最後に余談だが、オープニングのBGMが アメリカ横断ウルトラクイズの「通せんぼクイズ」と同じでワロタw


★★★★☆