奴が帰ってきた、9年ぶりに。また性懲りも無くwwww

これはスピンオフなのか? いや『ロッキー7』だ!!wwww


で、今回は ボクサーとしてのロッキーは完全リタイヤし、そのバトンはアポロの息子へという映画『クリード チャンプを継ぐ男』のお話。要は『男はつらいよ』シリーズ後期における寅次郎(渥美清)と満男(吉岡秀隆)の関係みたいなもんだ、ウンw


話としては前6作を踏襲し(「女は足にくる」設定もw)、オマージュを捧げたファンムービーとして良作だ。そして ついには義兄・ポーリーまでをも亡くし(カメも2匹から1匹へw)、自らの死(老い)に向き合うロッキーの後日譚にもなっている。80年代前夜にイタリア系移民と黒人が雌雄を決して闘う まさにハリウッドに風穴を開けた作品が約40年の時を経て こういった形に昇華されていったというのも何とも感慨深い。

実は本作の脚本・監督はスタローンではない。それもあってか長くロッキーシリーズを通して見てきた者としてはしっくりこない面もあるのだが、これはこれでクリードの物語として新たな若い観客の支持を得られれば良いなとは思う。しかし映画を観ているというよりは「クリードの試合をペイパービューで見ている感」は 時代の流れなのかもしれないが、何かスクリーンで観る映画としての質感に欠けておりガッカリ感が否めなかった(前作もそうだったが)。

それとシリーズの定番であったロッキー・ステップス(いつもクライマックスで駆け上がっていた石段)や ビル・コンティの劇伴を、最後の最後の最後まで引っ張ったというところも少し残念な気がした。まぁ全く無いよりはマシなのだが、そこもロッキー・ムービーとしてのカタルシスの喪失感を感じずにはいられなかった点だ。


ただロッキーと息子ジュニアの写真をクリードが見つけると ロッキーが「今 息子は結婚してバンクーバーで幸せに暮らしているよ」と語るシーンは知っている者にとっては涙なしでは見られない名シーンであった。

というのも当時(『ロッキー5』時) ロッキーの息子は実の息子であるセイジ・スタローンが演じていたのだったが、2012年に36歳で亡くなってしまっているのだ。ミッキーもアポロもエイドリアンもポーリーも居ないロッキーワールドにおいて唯一の身内が本当に不在にも関わらず「生きている」扱いになっているのである。

この架空のボクサー ロッキー・バルボアと、役者 シルベスター・スタローンの生き様がクロスオーバーする快感こそ、ロッキー・ザ・ムービーの醍醐味であると言えよう。

そこが車寅次郎と渥美清との最大の違いだと思うのだが、かといってスタローンが自分自身を投影させロッキーを等身大で演じてきた不器用な役者だとは思わない。むしろ逆だ。肉体派俳優が齢を重ね、自らと向き合い、役者としての円熟味を増してきた結果がここに結実しているのである。

ちなみに過去作で名トレーナー・ミッキーを演じたバージェス・メレディスが1作目『ロッキー』の時は68歳、そして本作『クリード チャンプを継ぐ男』でのスタローンは69歳だという。確実に時代は1周してしまったのだ。

そしてスタローンは本作で その年のゴールデン・グローブ賞の助演男優賞を受賞し、アカデミー賞もノミネートした。


で、スタローンもこれで黙っていられるタチではない。クリード制作中にも色々と思うところもあったのだろう。今度は自ら脚本・監督を手掛け、クリードの続編を作るというではないか!! しかも対戦相手は父・アポロを葬った宿敵イワン・ドラゴの息子とな!?

日本では来年のお正月映画として公開との事。この因縁対決も しかと目に焼き付けねばっ!!w


★★★☆☆