NHK『平成史スクープドキュメント』安室奈美恵 最後の告白を見た。

よく「時代と寝た」という表現をされる事がある。安室奈美恵もある意味、平成という時代と寝て その役目を自ら締めた人という側面もあったと思うが、僕が思うに安室奈美恵とは

同世代と添い寝をしたアーティスト

だったのではなかろうか。

激動の30年間で頂点を極め、同時に苦悩や挫折も味わった。その間、人生の起伏を味わったのは何も安室奈美恵だけではない。同じ時間を一緒に過ごしてきた同世代のファンたちもそれは同じ事なのだ(だからこそ昨年『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のような映画が作られ、共感を呼びヒットしたのだと思うのだが)。

プロとしての努力研鑽は惜しまなかったとは思うが、決して特別な、非凡な存在ではなかったカリスマ…普通だったからこそやめられた…今振り返って安室奈美恵とはそんな存在だったような気がする。
それでも アイルトン・セナやイチロー等も抱える「頂点を極めし者の苦悩」がそこにはあり、それでも走り続けた事をちゃんとわかってくれたファンがいたからこそ ここまで続けられたのだと思う。

そしてめったにMCをしない彼女の、最後の東京ドーム公演でのファンへのメッセージが全てを物語っているような気がした。

「いち音楽ファンとして、皆さんの素晴らしい毎日の中に、素晴らしい音楽が常にあふれているよう、心からそう願っています。これからもステキな音楽にたくさんたくさん、ぜひ出会って下さい」

私は音楽をやめる、そしてその事に後悔はないけれども、自分の音楽を愛してくれたみんなには これからも音楽を愛し続けてほしい…芸能界を夢見て14歳でアイドルとしてデビューし、平成という時代を駆け抜けたひとりの女性としての言葉だったのだと思い、そう受け止めた。

美空ひばりが亡くなって終えた昭和、そして安室奈美恵がガラスの靴を脱いで終えようとしている平成…そんな濃縮された30年が今 幕を閉じようととしている。


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