現在放送中のNHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺』では 映画的なクリシェが嫌味にならぬ程度にさりげなく使われている。

例えば「旅立ちと別れのシーン」では「駅・汽車」が効果的に出てくる。

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これは同じく宮藤官九郎 脚本による朝の連ドラ『あまちゃん』でも使われていたが、映画でいえば デヴィッド・リーン監督の『旅情』や 小津安二郎監督の『浮き雲』等、頻出されるシチュエーションだ。大きな物(汽車・事象)によって大切な物(故郷・家族・恋人等)から物理的に遠くへ引き離される…という非常にわかりやすいシンボルなのである。これはクドカンが宮城出身で上京してきているという影響も大きいのかと。

そして金栗四三(中村勘九郎)と幼なじみ・スヤ(綾瀬はるか)の「出会いと再会の場所」として「橋」が機能しているのも見落とせない。

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岸恵子・佐田啓二主演の『君の名は』や レオス・カラックス監督の『ポンヌフの恋人』等、映画において「男と女を繋ぐアイテム」として橋も印象的に使われる事が多い。
押井守監督の『機動警察パトレイバー2 the movie』では 物理的な爆発によって橋が破壊される事で、対岸(テロ首謀者と警察官)にいる男(柘植行人)と女(南雲しのぶ)を繋ぐ物の「断絶」を示唆している。

映画やドラマを見る時にこうした「駅」や「橋」が出てくる意味を考えながら観るとまた別の面白さが見えてくるかもしれない。ただこうした映画の見方は2度目に観る時の方がいいだろう。初見でそんな事をいちいち考えながら観ていたらストーリーに没入できないだろうから(笑)。
それと今ここで述べた事は あくまで映画のもうひとつの楽しみ方であり「雑学」である事をお忘れなく。