映画『ねことじいちゃん』公開初日(2/22 猫の日)初回で鑑賞。すなわち最速レビューw

猫好きの方は必見の作品です。全シーンに渡り、必ず猫が登場。是非とも劇場のおっきなスクリーンで可愛い猫ちゃんたちを楽しんでください☆

で、裏を返すと猫に興味がない、あまり好きではないという人にとっては映画としてのカタルシスが少ないかも(苦笑)。というのも、驚くべきような大きな事件が起こらないからだ。『ボヘミアン・ラプソディ』でのフレディの飼い猫のシーンが延々と2時間続くような映画なんでwwww

この映画は ある意味「猫が主役」で、人間と猫は並列に存在し、島の日常が、市井の人たちの生活が淡々と映し出されている。そして作中では人間と猫(ペット)に共通する避ける事のできない「ある事」が描かれている(それは是非とも劇場でご確認ください)。そこは誰もが共感できるポイントかと。

自分は長年 江ノ島で猫を撮り続けていたので、何か既視感を覚えるようなシーンが次々と出てきてドキリとした。
作中で猫が全然懐いてくれない郵便局員が出てくるのだが、それは彼が自分から猫に近づき寄り添おうとしているからだ。それは人間も同じ事で、まったくわけのわからん おっさんとかが突然近寄ってきたら やっぱり怖いし逃げるじゃないですかぁ(笑)。それは猫も同じ事で…と、まぁそんなような いわゆる「猫あるある」的なシーンもたくさん押さえてあるので、猫好きな方にはそこら辺が見どころなのかなと。

最後に映画としての話をさせてもらうと、当たり前だが猫は演技をしないw なので ありのままを撮し、その良さを引き出すために ひたすら待っていたのだと思われるが、その撮影法や編集によって猫たちの行動に「意味」が生じてくるのが面白い。
いわゆるモンタージュ理論やクレショフ効果みたいなもので、猫は別に何かを考えているわけではないと思うのだが、もしかしたら この猫たちは愛し合っているのかなーとか、おなかが空いているのかなーと観る者のイマジネーションを掻き立てるような作りになっている。そういった意味ではサイレント映画に立ち返ったような新鮮味はあった(なにせ猫はしゃべりませんからw)。

岩合さんはこうしてこれからも「猫映画」を作ればいいんじゃないかなぁ?
だって猫を撮る事に関しては、黒澤よりもフェリー二よりもゴダールよりもずーっと優れているわけなのだから(笑)。
今BSで『岩合光昭の世界ネコ歩き』を放送しているが、スチールからビデオ撮影がメインになっていたのも やはり猫の表情・しぐさを「動く画」として押さえたいという欲求があったからこそだと思われるので、こうして映画を撮る事になったのも ある意味必然だったのかなと。

それと驚くべきは岩合光昭の映画監督デビューが67歳であるという事だ。
伊丹十三が51歳、和田誠が48歳、大林宣彦が39歳で 遅めの商業映画デビューといっても、67にはかなわないw これからのご活躍にも期待しております、いちファンとして。

★★★☆☆