BSプレミアムでスタンリー・キューブリック監督の『バリー・リンドン』を放映していた。

この機会に今回 話しておきたいのは「ソフト化(もしくはテレビ放映時)伴うアスペクト比問題」だ。
他の作品や映像作家ではそれほど大きな問題にはならない事象なのだが、ことさらキューブリック作品となると、某かーやんのような(笑)世界中のキューブリックマニアが黙ってはいないw
というのも キューブリックという監督は「完璧主義者」であるとよく言われている。できる限り自作をコントロールし、NGを127回出させたとか今となっては伝説的に語られる程なのだが、自作のソフト化に際してのこだわりも尋常ではなかった。自分が関わったものは決して人任せにはせず、徹底して関与するという姿勢だ。

しかしキューブリックの死後にリリースされた再販版DVDやBD(ブルーレイ)では 現在のワイドテレビの普及に合わせ画面のアスペクト比(縦横比)を改変しているものが存在している。
それはまずは「テレビ有りき」という思考で、現在のテレビのフォーマット(16:9)にピッタリ合わせた方が見やすいであろうというに考え方に基づいたものなのだが、キューブリック信奉者はとことんオリジナルにこだわるw

全作品を挙げたらキリがないので『バリー・リンドン』を例にすると、下画像のようにキューブリック監修の初期DVDとBDでは微妙にアスペクト比が異なるだけでなく、天地の映っていない部分の存在が確認できる。

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これで推測できるのは、DVD版のマスターの上下をカットして 後にBDが作られたのだとしたら 元々のマスター(オリジナルネガ)が存在していないという事になる(もしくは手抜きをしたか)。

つまり『バリー・リンドン』は

1.撮影時のオリジナルネガ(1:1.77)
2.劇場公開時(1:1.66) ※キューブリック本人の意向によるもの
3.初期DVD(1:1.58) ※4:3のレターボックス収録
4.BD(1:1.78)

と、4つのバージョンが存在する事になる。

そのうちキューブリック自身が監修し認めているものは2と3。そして今日BSプレミアムでオンエアーされたものは4に該当する。
要は現在 監督の意向に一番近いものを観たければDVD版を入手するしかない…という話だったのですが、上下もしくは左右をカットするのか、それともレターボックスもしくはサイドパネルで完全収録するのか…どうでもいい人にとっては ホントにどーでもいい話でしたね、ハイwwww

ちなみに『シャイニング』以降の作品の初期DVDは当時のテレビのサイズに合わせてか4:3になっているのだが、BD版はオリジナルネガを用い 劇場公開当初のアスペクト比に限りなく近い形で収録している。
それがファンにとっては良いのか悪いのは微妙なところなのだけれども、気になるなら両方持っておけという…これまたどーでもいい話w