50周年で50作目となる松竹映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』を劇場にて観了。

ここで感想の前に 僕なりの『男はつらいよ』論を述べておこうかと思う。

何故『寅次郎はつらいよ』や『寅さんはつらいよ』ではなく『男はつらいよ』というタイトルなのか。
実はそのヒントはこの50作目『お帰り 寅さん』の中にあった。
つまり何が言いたいのかというと『男はつらいよ』というタイトルだったからこそ、渥美清不在でも吉岡秀隆にバトンを渡し、その役目を引き継げたのではなかろうかと。

今年観た イーストウッドの『運び屋』やSWシリーズ完結作、スコセッシ×デ・ニーロの『アイリッシュマン』、そしてこの『お帰り 寅さん』には全て共通したテーマがある。それは「老成」であり「総括」だ。

映画の中の登場人物(役者)が歳をとれば、もちろん観客である我々もその分 歳をとるわけで。その中で時代の流れ、そして映画の歴史や重みを感じられる…そんな時期がいよいよ自分にもやってきたのかという気にさせられた。

山田洋次は映画監督として幸せだと思う。五社協定が無くなってからも松竹という大メジャーで常に優遇され(松竹の撮影所には山田監督専用の部屋があるという)、好きな作品をコンスタンスに撮り続けられる非常に恵まれた環境にあった。そしてこうしてまた『男はつらいよ』を今の観客に届ける事ができたのだ。それはSWシリーズもそうだが、出演者が(そして監督も)「生きている」という事が大事なのだなと。

ラストシーンはもう「昭和名女優列伝」のようで、それはまるで山田洋次版『ニュー・シネマ・パラダイス』を観ているかのようだったw
過去作全49作の4Kリマスタリングを手掛けたイマジカそして東京現像所のスタッフのみなさんにも感謝。

しかし気になった点もある。それはオープニングで意気揚々と『男はつらいよ』を歌い上げる桑田佳祐と、純くん…じゃなかった満男(吉岡秀隆)の「目の演技」がちょっとクドかったかなとw それと『ALWAYS 三丁目の夕日』と同じく「作家」という職業設定もセルフパロディのようで なんだかなーと思ったしw

で、特筆すべきは満男の娘役の桜田ひよりちゃんの天使のような可愛さと、少女時代の後藤久美子の美しさ。これは是非とも映画館の大スクリーンで堪能して頂きたい。

ちなみに自分の席の両隣は おじさんだった。
でもよくよく考えたら自分もおっさんなんだなと気がつき苦笑wwww

★★★☆☆

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