『男はつらいよ』第1作目では志村喬が博(前田吟)の父親役で客演。東宝から出向での特別出演という形だが、この後も準レギュラーとして度々出てくる。

これは山田洋次が松竹に在りながらも黒澤明を敬愛していた事の証でもある。

伝統的で文芸色の強い 松竹の大先輩である小津安二郎を否定しながらも、大島渚を筆頭とした松竹ヌーベルバーグの「波」にも乗れなかった初期の山田洋次は喜劇という娯楽映画の王道を突き進んでいく事となる。

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しかし山田洋次が後年 黒澤邸を訪れた際に天皇黒澤が自室で小津の『東京物語』のビデオを黙ってじーっと観ていた姿に衝撃を受けたという話は有名だ。

娯楽映画の王道を突き進み、世界のクロサワと呼ばれた あの敬愛する黒澤明が、忌むべき存在であった小津安二郎の映画を熱心に観ている…山田監督はそこから考えを改めたという。

そしてその松竹の大先輩である小津に敬意を表して作られたのが『東京家族』というわけだ。