かーやん☆ブログ

DJ karyangという名でDJもしております。何卒。

やっぱり小津が好き

大人の見る繪本 生れてはみたけれど

小津安二郎監督、初期のサイレント作品の名作。20年以上ぶりに再見した(初めて観た時はフィルムだった)。

移動撮影の切り返し等、後の小津作品ではあまり使われる事のないスタイルが多々見られるが、こうしたサイレント映画での経験を踏まえて、トーキーやカラーに移ってからは どんどんソフィストケイトされていき、あのフィックス・ローアングルのような作風が確立されていくわけなのである。

主人公の兄弟は、常に帽子(体育の赤白帽みたいなやつ)を被っている。家の中で ごはんを食べている時もだ。よくよく考えたら とても不自然な画なのだが、二色の帽子を被っている事で どちらが兄で弟かが一目でわかるような 映画としての「記号」として機能しているのだ。こうしてサイレント時代には 音や色がないという事を如何に映像表現で補うかというところに全身全霊を注いでいたわけであり、時代が変わりトーキーやカラーになっていく中で小津作品は その映像手法を固定のもの(様式美)として脚本(台詞劇)に特化していくのであった。

本作は、子供の世界と大人の社会のヒエラルキー(の無情)を描いている。路地裏、板塀、砂利道と失われた昭和(戦前)の風景が描かれているが、人間の本質は今も昔も変わらなく 風刺劇として今見ても充分に面白い。そして後の『お早よう』等に その精神は受け継がれている(まるでサイレント映画のように黙して「しゃべらない」シーンがあったりして面白いw)。

こうした時代や言語を超越した作品で、小津は世界中のシネアストを魅了し、今も愛され続けている。


★★★★★

風の中の牝雞

また小津さんの悪いクセが出た!!

『浮草』の灯台と一緒で、延々と建設中のガスタンクばっか 捨てカットで使ってるw よっぽど気にいったのかなぁ?w

前作の『長屋紳士録』は戦争孤児の話だったが、本作は終戦直後 夫の復員を待つ妻の悲哀と苦悩を描いた かなり暗めの作品

田中絹代が見る者の期待を裏切らない好演をしている(杉村春子のように嫌味はないw)。しかし救いようがないほど暗い話なのだ(苦笑)。内容が内容だけに悲壮感もたっぷり、階段落ちのシーンは かなりショッキングだった。

脚本を担当した斎藤良輔、そしてこの後に小津とタッグを最後まで組む事となる脚本家の野田高梧などは本作に対して批判的で、小津自身も「失敗作」と認めているらしいが、オイラは別にそうは感じなかった。

例えば こういった話は 世相や時代背景は違っても「自分の彼女が かつて(もしくは今)風俗嬢だったらどうするか?」とか、現代でも置き換えられるわけでしょ?

不景気も続き、あのような大きな震災があって混乱がなおも続く昨今の日本と、こうした終戦直後の問題が重なって見えたのは オイラだけだろうか。

小津さんは自分も復員してきた身だけに『長屋紳士録』でもそうだったが、こうした戦後の現実もちゃんと描いておいた方がいいんではないかと判断したのだと思うのだが。

しかし 次作の『晩春』からは野田高梧と二人で、世相に流される事のないエバーグリーンな作品づくりに没頭していく。

つまり皆がイメージする「(戦後の)小津安二郎監督作品」へのターニングポイントとなった作品とも言えるのではなかろうか。

そういった意味でも貴重な一本だし、見て損はないと思う。『長屋紳士録』と同様、シンプルなラストシーンも個人的には好きだ。ただ暗いのだ…w


★★★☆☆


(2016.12.9 一部改稿) 

長屋紳士録

戦後初めての小津監督作品。

戦争孤児の話なのだが まだ焼け野原が残る風景はなんとも痛々しい。そして終戦間もない頃の茅ヶ崎の風景もフィルムに残されている。海の景色だけは今も昔も変わらないんだな、コレがw

で、特筆すべきは みんなでお茶碗をチャカポコ叩きながら笠智衆が「のぞきからくりの唄」を唄うシーン。これが秀逸!! そしてすごいグルーヴ感!!w 



『彼岸花』でも詩吟を披露していたが、笠さんって見た目に寄らず(失礼)めちゃくちゃ歌うまいよなぁ♪w

歌の途中で箸をクッと上げるところなんか、まるで

ジミー・ペイジのバイオリン奏法

みたいでカッコイイじゃないか!!wwww


それとラストもシンプルながら じぃぃんとくる。小津さんの子供たちへの愛と 終戦間もない日本への希望が感じられる名シーンになっているし、飯田蝶子の演技も素晴らしい。

ちなみに 飯田蝶子が劇中「母やん(かあやん)」と呼ばれているのに、いちいちドキッとしてしまう かーやんなのでした(笑)。


★★★★☆


(2014.2.12 一部改稿) 

浮草

小津監督が大映で撮った珍しい一本。

本作を高評価している人も多いようだが、どうも松竹の作風に見慣れてしまっている所為か、オイラは この浪花節なストーリーに いまいち馴染めないでいるw

出演者も当然の事ながら大映の役者さんばかりなので、なんか違和感もあるし。

あとウインダム(ウルトラセブン)に怪光線を放ったのによく似た灯台が印象的に何度も捨てカットで出てくるのがおかしいw

小津さんってよくやるんだよね、こういう事を(『風の中の牝雞』のガスタンクとかw)。おそらく それによって場所(シーン)とか建物の位置関係なんかを見せたいんだろうけど、オイラから言わせたら ちょっとクドイ。ま、口で説明するよりはマシだけどw

しかしラストはいいね。京マチ子が中村鴈治郎の火の点いた煙草を手に取って自分の煙草に火を点けるシーンがグッとくる。あれはキスシーンのメタファーだよ、きっと。

これはオイラの想像だが、小津作品において ああいうシーンはおそらく全て脚本として明文化されているものと思われる。そこら辺も実に確信犯的な小津・野田脚本。後の『小早川家の秋』にも通ずるものもあるが(こちらは東宝作品)、何かいつもの松竹のテンポ感とはまた異なる作品をあえてアウェイでぶつけている感じがしますね。

で、大映作品なのでキャメラマンはもちろん東洋のグレッグ・トーランド、宮川一夫

小津さんは ほとんど自分の指示通りに撮らせたという事らしいが、よく観ると「あ、ここは宮川一夫が押して小津さんが譲歩したカットなんじゃないか?」と思えるショットもいくつかあるので、それを楽しみながら観るのも一考かとw

それと小津作品でありながらも鴈治郎さんや京マチコなんかがエモーショナルな演技をガンガンやっているんで、いつもは浮きまくっている杉村春子がちょうどいい感じになっている(むしろ抑制した演技に見える)のがなんとも皮肉っぽい(笑)。杉村春子の関西弁、上手いねw


★★★☆☆


(2014.2.12 一部改稿)

お早よう

戦後の小津作品の中でも明らかに異質なコメディ作品。

しかし子供目線でオトナ社会を痛烈に批判しつつも、これからの家族の在り方を描いているという点では、従来の小津のラインから逸脱はしていない。

テレビを買ってくれるまでは一切しゃべらないという子供たちのボイコット事件が、婦人会費行方不明事件とリンクして 向こう三軒両隣のご近所で更なる疑惑を生む。

まさに『お早よう』で描かれているのは

「コミュニケーションの不通」(と、そこから生ずる歪み)

という問題だ。

それは同時に のちの日本の家庭や地域コミュニティーの崩壊・断絶を予感させるものになっている。

そういえばスタンリー・キューブリックの映画は みんなこんな感じの「コミュニケーション不通映画」だ。『2001年宇宙の旅』や『博士の異常な愛情』や『シャイニング』もしかり。

小津は5年10年…いや、1年2年先の「(お茶の間の中の)SF作品」を作っていたのかもしれないなw 


戦前に小津は このような子供を主人公にしたサイレント・コメディを量産していたわけだが、『彼岸花』に続けて作られた2作目のカラー映画という事で「せっかく色がついたんだから、原点に返ってちょっと明るい話(コメディ)でもやってみようかねぇ?」となったのだろうか?w

竹中直人監督の『無能の人』や ジム・ジャームッシュ、アキ・カウリスマキのようなオフビートな笑いを含んだ作品なんかにも多大な影響を与えているといった意味でも必見の1本。


で、前作の『彼岸花』に出てきた真っ赤なケトルに続き、本作で存在感を示しているのが「真っ赤なフラフープ」だ(またしても赤w)。

ま、ラストは まぁるく収めましょ…ってな事なんですかねぇ?w


★★★★☆


(2014.2.12 一部改稿)

東京暮色

当時としては 非常にヘビーでスキャンダラスな内容だったと思う。小津作品の中でも屈指の暗さと救いようの無さ(苦笑)。

しかし映画の骨格(脚本)がしっかりしているので、最後まで見られてしまう。巧い、やはり野田・小津コンビの脚本は(しかしあまりの内容の暗さに当時 野田高梧は猛反対したらしい)。

相変わらず杉村春子の演技は嫌味ったらしいw

しかし山田五十鈴は好演している(実は山田五十鈴が小津作品に出演したのはこれが最初で最後)。青森行きの汽車の中で もしかしたら娘(原節子)が見送りに来てくれるんではないかと気もそぞろに窓の外の様子を伺っているシーンは ただもうそれだけで泣けてくる。

本作の笠智衆の演技も好きだ。この演技の巧さは確実に後の『彼岸花』『秋刀魚の味』に繋がっていると思う。

それと有馬稲子が超絶的に可愛いんだけど、これまたすんごいダークな役どころ(苦笑)。笑顔ひとつ見せないっていう。彼女の笑顔は『彼岸花』まで待て!!w


★★★☆☆


(2014.2.12 一部改稿) 

お茶漬の味

小津さんは作品の出来に満足していなかったようだが、観てみたら小津作品の中でも屈指の名作だった。

60年代でも70年代でもなく、まだ戦後間もない1952年にこうした家族の問題、家庭不和、出身・身分等の問題を既に扱っていた事に まずは驚いた。

田舎育ちの旦那様を「鈍感さん」呼ばわり、適当な嘘をついては修善寺や後楽園球場等に豪遊…と、まさに元祖『デスパレートな妻たち』!!w

でもラストは ほっこりとした☆ お茶漬けの味とは まさにFlavor Of Lifeなりw

あなたらしく、自分らしく、その背丈で背伸びせずに生きていくという事。袖を摺り合わせ、寄り添いながらも。


しかし小津映画における佐分利信は実にイイネ!! 特に朴訥とした感じが「昭和の父親」像といった感じで。

そしてここでも淡島千景がキュート☆w


★★★★★


(2014.2.12 一部改稿)

宗方姉妹

小津が新東宝で撮った最初の作品。

しかし松竹以外の小津作品には ものすごい違和感を感じるんだよねー。『小早川家の秋』なんかもそうだけど。

だいたいタイトルが変だ。

『宗方姉妹』と書いて「ねむかたきょうだい」と読み

『小早川家の秋』と書いて「こはやかわけのあき」と読むw

いつも同じような作風と思われがちな小津作品だが、松竹以外で撮っている時には なんか意識的に松竹では やりそうもない実験的な事(演出)をしようとしているんじゃないかなーとも思う。

守るべき伝統的な古い価値観、それを打破し 築き上げていく新しい価値観…この映画のテーマと「新しいという事は、いつまで経っても古くならないという事」という台詞が 小津作品そのものを表しているような気がした。抑制の利いた田中絹代と小津作品らしくない高峰秀子の演技もいいんだけれど、それにしても小津安二郎&野田高梧の脚本の完成度は高いなーと、ただただ感心。


それと特筆すべき点は、小津作品には珍しく猫がいっぱい出てくるところだw 山村聡の「猫は不人情なところがいいんだ」という台詞が胸に染みる。やっぱ猫好きだったのかなぁ、小津さんもw


★★★★☆


(2014.2.12 一部改稿) 

第2回 24時間映画マラソン 第5弾『東京物語』

先日NHK(BS)で放映されたデジタルリマスター版の『東京物語』を観る。

しかし今のデジタル技術ってスゴイね!! 白黒ではあるけれど、まるで最新作のような美しさに生まれ変わって音声も かなり聞き取りやすくなっていた。

で、この世紀のリマスタリングを手掛けたのは 実は天下のIMAGICAさん。きっと草葉の陰で小津先生も さぞかしお喜びの事でしょう。


戦後の小津作品は「結婚を迎える娘と父」という題材の作品がほとんどだが、本作は家族(親子)の在り方と郷愁の物語である。故郷と(亡くなった)親は遠くにありて想うものという事か。

まぁ小津さんの作品はシンプルで且つ普遍的なテーマを扱っており、『東京物語』には そうした日本人の精神や所作や 今では忘れかけられている「美しさ」がある。だからこそ こうして時代や世代を超えて語り継がれているんでしょうな。まさに日本映画のマスターピース


個人的には 笠智衆と十朱久雄と東野英治郎が3人でお酒を飲みに行くシーンが好きだな。

遺作の『秋刀魚の味』もそうだったが、男同士水入らずで飲みに行くシーンに小津さんの(日本の父親の)本音みたいなものがチョロチョロっと見え隠れして それが実に面白い。

あ、そういえば 十朱久雄が 十朱幸代の実父だという事を今日初めて知った!!w


それと余談だが、小津作品における杉村春子ってオイラはあんまり好きじゃないんだよなーw

演技が巧すぎて明らかに浮いているところが(苦笑)。

『小早川家の秋』での森繁久彌は小津さんも演出するのに苦労したらしいが(森繁は小津さんが嫌うアドリブの演技ばかりする人なので/笑)、杉村春子は志賀直哉の薦めで起用して小津監督は大変気に入り、『晩春』以降のほとんどの作品に常連として出ている。


で、ついでに もうひとつ余談なのだが、72歳の役を演じている本作の笠智衆だが 『東京物語』撮影当時は42歳だったらしいw

42(後厄)にして あの初老っぷり(笑)。亡くなってもなお 永遠の爺さんだな、笠智衆は!!(菅井きんなんかもそうだったけどw)


★★★★☆


(2014.2.12 一部改稿) 

小早川家の秋

『小早川家の秋』鎌倉市川喜多映画記念館で鑑賞する。

小津監督が東宝(宝塚)で撮った珍品。

なので出演者も森繁だったり、小林桂樹だったり、加東大介だったりと まるで東宝の社長シリーズを見ているかのようだった(笑)。

それでもちゃんと「小津作品」になっているところがまたスゴイよな!!w

キハチさんの『江分利満氏の優雅な生活』でも夫婦役だった小林桂樹×新珠三千代コンビが見られたのも嬉しかった☆

今見ても美人だよね~、新珠三千代(元祖ツンデレ)は!!w

で、ラストのバーナード・ハーマンばりの仰々しい音楽(黛敏郎によるスコア)とカラスは まるでヒッチコックの『鳥』を見ているようだった!!(笑)

あの不気味なラストは本作を更に珍品なものとしているし、この作品を撮り終えた後に小津さんは母親を亡くし、この後の『秋刀魚の味』が小津さんの遺作になった事を考えると まるで不幸の始まりを見ているかのようだ。


★★★☆☆


(2014.7.26 再編集) 
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